楮(こうぞ)の栽培方法

和紙の原料となる「楮(こうぞ)」の栽培方法をご紹介します。

東京和紙では、和紙を作るだけでなく和紙の原料も育てています。

東京和紙は、

和紙の原料は楮(こうぞ)

和紙を漉(す)くのに使用するネリはトロロアオイを使用しております。

皆さまにもさらに和紙を身近に感じて頂くために一緒に原料を育てる活動もしております。

和紙がどんな植物からできているがご存知ない方が大変いらっしゃいます。

さらには和紙が植物からできていることを知らない方も多数いると思っております。

少しでも和紙を様々な角度から好きになって頂ける様に

「和紙を作る」だけでなく「和紙を育てる」ことにも力を入れております。

庭や山だけでなく、軒先のプランターでも簡単に育てることが可能です。

今回は、和紙の原料でもある「楮(こうぞ)」をご紹介します。

トロロアオイの栽培方法についてはこちらをご覧ください


楮(こうぞ)を知っていますか?

楮(こうぞ)は、木です。(桑科の落葉低木)

成長した楮(こうぞ)

若葉が出始めはこんなにも小さい苗です。

楮(こうぞ)の苗

栽培方法は2種類ございます。

①鉢植えでの栽培

土や養分が限られているため、地植えよりは細い幹になりますが、大きめのプランターでしっかり手入れをして栽培すれば約2m位まで成長します。(3年目以上に成長したもの)

独特な葉っぱをしていますので鑑賞用や食用としてお楽しみ頂く方法もあります。

②庭や畑に地植えでの栽培

和紙の原料とするには様々な作業が必要になります。

(間引きや芽かき作業)

またしっかり成長させてから(3年目位)ようやく和紙としての原料となります。

今回は、観賞用をメインとした栽培方法をご紹介します。

また、根っこが横に増えていく性質のため、周囲の植物にも影響がでますことをご留意ください。

用意するもの


横広の鉢植えに敷石→土を入れる

鉢植えの場合

横に広く深さのある植木鉢と敷石を用意します。

底には敷石を置いて水はけをよくします。

100均ショップで販売されている鉢植えや土で十分に育てることができます。

土は、培養土の方が大きく育つと思います。

(または、野菜用の土)

葉っぱや枝も横に伸びるため、一鉢に1つの苗がベストです。

他には、鉢用の受け皿あるとベターです。

もしコンクリートの上に鉢を置く場合、真夏の照り返しを受けない様にすることが大事です。

楮(こうぞ)の苗を移植


鉢底に敷石を敷いて土を入れ軽く押します。

苗ポットから取り出した苗を土の中に置き、ぐらつかない様に土を寄せて固めていきます。

楮(こうぞ)の根っこ

地植えの場合

1本あたり、縦15cm×横30cm×深さ10cm位必要です。

また、複数植える場合は木々の間が40cm位空いていると良いです。

鉢植えも地植えも植える時期としては、5月頃がベストです。

植えた後は、一度水をまいてしっかり水が落ちていくかを確認してください。

日当たりが良く、高温の場所が最適です。

水やりは土の表面が乾いたらたっぷりとあげてください。

次々に新芽が登場


楮(こうぞ)の若葉

次々に新芽が誕生してどんどん若葉から本葉へと成長していきます。

脇芽も誕生していきます。

鉢植えの場合は、土が乾いたら水やりをします。

地植えの場合は、定着してきたら基本的に水やりなどは不要です。

どんどん成長


若葉から本葉へ

夏に向けて気温が上昇し、枝は横に横にと伸びていきます。

雨などで土が減ってきますし養分も足りなくなります。

まず鉢内の土を軽く押し固めてから土を追加します。

土がふかふかだと根の張りが弱くなってしまいます。

基本的に肥料は不要ですが、葉っぱの色が薄くなったり枯れたりする場合は加えてください。

(液体でも顆粒でもOK)

雑草も生えてくるので取り除いてください。

土が減ってきたら増やし、土がカラカラに乾かない程度に水やりをするの連続になります。

横に伸びる楮(こうぞ)(地植え)

地植えの場合は、特に作業はありませんが蔓状の雑草が枝に絡みつく場合があります。

楮(こうぞ)に傷が残らない様にそっと外し根ごと取り除いてください。

また、植えた苗以外から細い芽が伸びてくることがあります。

切ってしまってもよいです。

他の場所でも植えて育てたい場合は、根を切らない様に掘り上げて植え替えてください。

土の栄養分などが足りなかったり、水やりが多すぎで葉っぱが黄色くなって全て落ちてしまうことも植え始めの時はあります。

根っこは生きている場合が多いのでそのまま適度に水やりを続けているとまた葉っぱが生えてきます。

気温低下とともに葉が落ちる


枯れ始め状態(鉢植え)

9月下旬から10月に向けて気温の低下に伴い成長は鈍り始めて下の葉っぱから黄色くなって落葉していきます。

特に手入れは何もしません。

水やりも適度に降る雨で十分です。

枯れ始め状態(地植え)

成長は、枝を伸びさせる成長から皮を厚くする成長へと変わっていきます。

枝のみになる


11月中旬頃から落葉が進み、葉が全て落ちて茎や枝のみになります。

葉が落ちた状態(鉢植え)

このまま冬を越していきます。

引き続き手入れもしなくて大丈夫です。

手入れした楮(こうぞ)の幹

地植えの場合、間引きなどの手入れをして直径15mm位の幹や枝になった場合刈取りをしていきます。

刈取りシーズンとしては、12月中旬から2月上旬までになります。

1本では和紙を漉くには足りませんが、何本もあつまれば何枚も東京和紙を漉(す)くことができます。

よろしければ東京和紙にご提供頂けますと大変助かります。

新芽登場


次の年の3月頃からまた新芽が出てきます。

次の年の新芽

熟すことはないのですが、小さな花が咲いて実がなる場合もあります。

ただ、雄株なので実らずに落ちてしまいます。

2年目以降はどんどん成長が進み、葉っぱも大きくなります。

たくさん葉っぱもできるので是非お茶や料理に食してみてください。

新芽や若葉は特に香りが高いので是非旬の味わいをお楽しみください。

楮(こうぞ)を食すもよし

成長を観察するもよし、

和紙を漉(す)くために手入れをして育てるもよし

様々な目的でも構いません。

東京産の和紙原料をもっと増やしていきたいと考えています。

東京都内(市や村も含む)にある放置耕作地や畑にスペースがある方、屋上や庭に育てても可能という方、廃校などの空きスペースにプランターなどを置けそうな情報をお持ちの方などなど、ご協力頂ける方を大募集しております。(原生している楮や梶などの情報もお待ちしております)

よりもっと和紙に関わる植物に興味を持って頂きたいと思っております。

栽培方法や地植えなどで和紙の原料にする場合に関してなど
ご不明な点がありましたら東京和紙までお問い合わせください。